ぱんだ君がT:Luckへやって来た〜大切な命のお話〜


みなさまこんにちは下北沢にある世界のビールが楽しめるちょっと変わったおかしな美容室T:Luck 店主伊藤です^_^

僕の思い描いていた小さな夢

僕にはざっくりとした夢がありました。

自分で美容室をやるなら

  • 自分の興味ある専門書や絵本,おしゃれな洋書を壁紙みたいに並べたい!
  • 世界のビールが飲める店にしたい!
  • 同じ趣味や人好きが集まってみんなでワイワイできる店にしたい!
  • お客さんと遊べる店にしたい!
  • お客さんがお散歩ついでに気軽に立ち寄れるお店にしたい!
  • 遊びながら勉強できる集まりをやりたい!
  • お客さんやスタッフと海外旅行に行きたい!

他にもまだまだあるけども、ざっくり思い描いた夢はこの4年間で少しずつ現実になっていきました。

その中にもう一つ

ワンちゃんのいる美容室にしたい

過去僕が働いていた町田美容室ナチュールに当時実家で飼っていた犬を連れて出勤していました。

ボルゾイのシェリーさん毎年10/06はシェリーさんの命日なのです(´ー`)、

当時初めての犬でこの犬です、しつけの本を読み、実践して噛みつかない、無駄吠えさせない、飛びつかせないと厳しくしつけました
その結果シェリー君は噛みつかない、吠えない、飛びつかないと言う本当にいい子に育ってくれました。

この子を連れて出勤したナチュール時代本当に楽しくてお客様もシェリーに会えるのが楽しみで来てくれている方もいたと思います。

シェリー君は7年ほど前に旅立って行きましたが、いつか自分で美容室をやるなら犬のいる美容室にしたいなと漠然と思っていました。

ただ犬を飼うと言うことは
楽しいことだけじゃなく、自分の時間やお金、気持ちをその子に注ぎ、時間やお金も減るという事、犬との楽しい生活を手に入れるには大きな責任が伴う事

お店を始めたばかりの僕にはそんなに余裕もなく、その小さな夢は

いつか
と思いながら4年が過ぎました。

お店を初めて4年、T:Luckは爆発的に上がることもなければ激下がりすることもなく、色のついたT:Luckはファンの方、スタッフ、アイリストやネイリストに支えられお店も安定してきていましたが、
コロナという予想もしなかった事がおきました。

飲食店や大型店舗が次々と閉店して行く中

独自の色を発信し続けてきたT:Luckは皆様のおかげで生き残ることもできました。が、今回のコロナで実感しました

もっとたくさんの人にファンになってもらおう!

T:Luckの色、沢山ある〜の美容室のキャッチコピーにワンちゃんと遊べる美容室を加えようとスタッフと相談し、住居問題もクリアーしまだまだ余裕があるわけではないけどワンちゃんを迎えようと

そしてついにT:Luckにワンちゃんを迎えることになりましたーーーー♪───O(≧∇≦)O────♪

皆さんにはまだ報告していませんでしたが9/29長野県より

ふわふわのぱんだ君

この子を迎えました!
チワワとマルチーズのミックスで白黒のパンダ柄だったので名前はぱんだくん!

フワッフワのコートで気持ちいい、ふわふわのぱん君です^ ^

家のソファーでおねむのぱん君

当時まだ2回目のワクチンも終わっていなかったので大々的な報告は避け、ワクチンが終わってから皆さんに紹介しようと思っておりました。
とは言え生後2ヶ月、家に一人で留守番させるのも何なのでお店には連れてきていました。

ペットバッグに入れ一緒に電車に乗ってみたり、お店から家まで歩いて帰ってみたり、一緒にスーパーに行ったり、お店でお客さんに会えたり

10/1〜10/5の間に2ヶ月の子犬の中ではたくさんの景色を見たと思います
5日間の間に店に来てくれた方々の中にはぱん君に会えた方もいますので、知っている方も多々いると思いますが。

お店に連れてくる以上しつけはしっかりしないといけません、飛びついたり噛み付いたり、無駄吠えしたりはないように
先住犬のシェリーさんのやり方でしっかり躾もできていましたので今回もしっかり躾ようと考えいたんですね、

そう真面目に考えすぎていた結果、その時は突然やってきました。

10/5の夜、ぱん君は僕の手をちょっと強めに噛み付いたんですね、それに対して僕の取ったしつけ方法はマズルコントロール。

マズルコントロールとは

「マズル」とは、犬の口の周りから鼻先の部分のことです。「口吻」と呼ばれることもあり、英語では犬の口から鼻の部分だけでなく、犬につけられる「口輪」を指すこともあります。

このマズルは犬にとって非常に敏感な部分。ここを触られるのを嫌がる犬も少なくありません。この習性を利用した犬のしつけが「マズルコントロール」と呼ばれるものです。

マズルコントロールは、本来は母犬が子犬に行うしつけです。やってはいけないことをやった子犬のマズルを母犬が噛むことで、それがルール違反であることを伝えると同時に、「自分は守れるぐらいに強い」ということを教える行為です。

それを人間が行うのが犬のマズルコントロール。

マズルコントロールを行うことは、犬に対してルールや上下関係を教えることにつながります。

との事です。

シェリーの時はこのやり方でしっかりと躾ることができていたので何の疑いもなくこの方法を実践しました

結果

ぱん君はよほど怖かったのかパニックになり、ウンチとおしっこを漏らしてしまいます

僕はとっさに手を離しぱん君の様子を伺います、そのままゆっくり目を閉じ、眠るように横になって動かないぱん君、

今度は僕がパニックになりぱん君の名前を必死に呼びかけます、この時本当に死んじゃうんじゃないかって思いました。

ぱん君はゆっくり目を開けて立ち上がりフラフラと歩いてまた眠るような仕草をします

すぐに夜間病院へ連絡し、タクシーに飛び乗り先生に見ていただきました

診断は、非心原性肺水腫という病気との事です。

肺水腫とは、肺に血液や体内の液体成分が過剰に溜まってしまい呼吸困難を起こす疾患である。重症度によっては致死的になる疾患なので注意が必要肺水腫は、心臓が原因で起こる

種類には「心原性肺水腫」と心臓以外が原因で起こる「非心原性肺水腫」があります。

心原性肺水腫は、僧帽弁閉鎖不全症拡張型心筋症などから起こります。この病態では左心系に負担がかかり、左心房→肺静脈→肺の毛細血管と圧が上昇していき血液の液体成分が浸み出してきて、発症します。

非心原性肺水腫は、重度の肺炎、気道閉塞、腫瘍、重度の組織外傷、重度の神経疾患、熱中症、溺死寸前、アナフィラキシー、感電やマズルコントロールなどさまざまな原因が挙げられます。そのほかARDS(急性呼吸窮迫症候群)で肺水腫を引き起こしてしまう場合は最も難治性です。この病態では血管壁の透過性が亢進する変化(血管から液体成分が漏れやすい状態になる変化)によって血液の液体成分が浸み出してきてしまい、発症します。

マズルコントロール…僕がやった事でした。

ネットで調べてみるも、治ったという話やそのまま亡くなるなどいろんな話があり正直よくわかりません
病院の先生曰く、「連れてきていなければ亡くなっていたかもしれない」との事でしたが
僕は連れてきた事で(大丈夫なんだ、よかった)と安易に考えていました。

ただ入院にはなるとの事でそこの病院は夜間診療専門なので次の日の朝には他の病院へ転院しなければいけません、

幡ヶ谷の24時間やっている動物医療センターという大きな動物病院へ転院することになり、翌朝ぱん君を迎えに行きました

酸素室の中でお休み中のぱん君

医療センターへ到着したあと処置について詳しく話をきくと、
「肺に水が入ってしまい、酸素がきちんと吸えていなく重篤であり、処置として酸素室で酸素濃度を上げ、少ない肺活量で酸素を取り込んで回復を待ちますが正直何があってもおかしくありません」

そんなにまずい状態なのか、、、激しい後悔と謝罪、生きてほしいという祈り色々な感情、考えが頭を巡ります

どこかで大丈夫だろう、また元気になるだろうと思っていた僕は事実を受け入れ、今自分にできることを考えますが、祈り、ぱん君のそばにいる事、そんな事しかできない自分にがっかりしながらも
その日たまたまお店の予約も空いていたのでスタッフに声をかけみんなもお見舞いに来てもらいました。

少しでもみんなの祈りがぱん君に届くように…。

ぱん君の身にはいつ何があってもおかしくないとの事で常に病院や病院の近くにいましたが、看護師さんから

「お疲れでしょうから少し休んでください」との言葉をいただき、容態も安定していたので一旦家へ戻りました。

シャワーを浴び、着替えている最中に家でゆっくりしてる場合じゃないよな、と、病院に電話し許可を得てレンタカーを借りて病院の駐車場で休ませてもらうことにしました。

深夜2時頃僕の携帯がなります。

看護師さんから「ちょっと様態が良くありませんので処置を変えます」と言う連絡でした、

ぱん君の病室へ向かうと苦しそうに息をするぱん君、自分のしでかしたミスでこんな事になるなんて思っていなかった

小刻みな呼吸で苦しそうでも生きようとするぱん君の姿に涙が溢れます。

あぁ、、、ぱん君、、、

次の処置は頭にビニールをかぶせてその中に管を入れ顔の周りだけ酸素濃度を上げるとの事でした。

ちょっと元気になったぱん君

顔の周りだけ酸素濃度を上げるという処置で酸素室から出られましたので抱っこして、撫でて、励まして、僕らにできることはそれくらいしかないけど
たくさん謝って、たくさん大好きって伝えてました、生きて欲しいから。

2時間ほど過ごし、この状態で酸素室へと戻ったぱん君を見送り、僕らは駐車場で朝を迎えました、

今思えばこの処置は転院の時からぱん君に直接触れられていない僕らへの先を見据えた病院側からの配慮だったのかもしれません。

朝7時過ぎ、看護師さんから呼ばれ、ぱん君の所へ向かいます

そこで見たぱん君は力なく横になっていたかと思うと急に立ち上がって吠えてみたり、くるくる回ってみたり、動いてはいるけど元気な様子ではない感じ、鳴き声もミーミー と鳴き、それはまるで猫みたいに。

お疲れのぱん君

看護師さんからのお話では脳に障害が出始めているかもしれないとの事、改善傾向には無いため、次の処置に移る可能性もあるとの事

次の処置とは、肺に直接管を通し酸素を送り込むとの事、ただしそれをやるには全身麻酔をかける必要があり、生後2ヶ月の身体にはその負担は大きく、そのままもう目覚めないかもしれない

悩みましたが少しでも生きられる可能性があるならと、お願いしました。

「処置が終わり安定したらお呼びしますので待合室でお待ちください」

との事で外のベンチで冷たいコーヒーを飲みながら僕はこう考えました。

ぱん君が元気に帰ってきてくれたらぱん君は許してくれたんだと、ぱん君を幸せにする事でそれが懺悔になるんだと、
もしも帰ってきてくれなかったらきっとぱん君は僕を許さない、後悔して悔やんで生きるんだと、

心の中で祈ります、

ぱん君大丈夫だからね、ぱん君ごめんね、ぱん君元気になったらたくさん遊ぼうね、ぱん君大好きだよ、ぱん君、ぱん君、ふわふわのぱん君、、、まだ死ぬほど生きてないから、これからたくさん楽しい事いっぱいだから、頑張って、帰ってきて!生きてください、、、

その時三階の酸素室から二階の処置室へ移動するときだったのでしょう、ミー、ミーとぱん君の声が聞こえました。

看護師さんに呼ばれた僕は処置室へ向かいます

そこで見たぱん君は口から血を吐き心臓マッサージを受けている状態でした。

処置の最中に吐血を起こし、そのまま心肺停止、その後蘇生処置へと移り、約20分蘇生処置は行われました

ただ見守り、祈る事しかできない、届けたい声ももう届かない、

ねぇ、ぱん君僕の声聞こえてる?
ぱん君まだ早いよ、君はまだ死ぬほどに生きていないのだから。

帰っておいでよ、帰って来てよ、、、、

看護師さん曰く、心肺停止状態から20分過ぎから蘇生確率は1桁%まで落ちると、その後10分ほど処置を続けていただきましたが、正直難しいとの事。

その時

僕の中でいろいろな感情、考え、自分が生まれて初めて迫られる命の選択に「続けてくれ」とも「辞めていい」とも言えず僕は首を縦に振るのが精一杯でした。

あの時冷たいコーヒーを飲みながら聞こえた猫のようなミーミー

あれが僕が最後に聞いたぱん君の声でした。

とても綺麗な顔のぱん君を引き取りぱん君を撫でながら出てくる言葉は

ごめんね、苦しかったよね、怖かったよね、生きたかったよね、俺なんかに飼われなければ。ごめんね、ごめんね、ごめんよ、、、ぱん君、、、

ぱん君の見ていた未来

ブリーダーさんが撮ってくれた僕のお気に入りの写真

この写真を見てこの子がいいって思った、このキラキラした目で見ていたぱん君の未来はこんなはずじゃなかった、たくさんの人に愛されて、たくさんの友達がいて、たくさんの美味しいご飯といろいろな匂い、景色、この先にはどんな素敵なことがあるんだろうって。

僕が殺したんです。

シェリーの時はこうだった、前はこれでうまくできた

だから今回もこのやり方で大丈夫だろうと言う過信、慢心、傲慢。

8年前の情報をアップデートしなかったこと、調べればわかる事を過信から勉強を怠ったことが今回の事故に繋がりました。

勉強というにはあまりにも大きすぎる代償
僕は許されませんでした。

大切な命のお話。

シェリーさんの時僕は自分が飼い主だって思ってました。
だけど今回の出来事で気づいた事、僕は飼い主ではなかったんですよね、親が飼い主で僕はその子供でしかなくて、飼い主を気取っているだけのただの子供でした(27〜35歳の頃でしたが現実的な話ですね)

今回ぱん君を迎え、名義に僕の名前を書き、自分で準備をして、しつけを考え、ご飯をあげ、ウンチとおしっこの世話をして、遊んで病院や葬儀の準備いろんなことがあった9日間で実感したことでした。

皆さん忘れないであげてください

T:Luckにはチワワとマルチーズのミックス、白と黒のパンダ柄、フワフワのぱんだ君という看板犬がいた事

今でも大好きだよ、ごめんね。絶対に忘れない、

僕の兄弟はシェリーさん、僕の子供はぱんだ君。

たくさんの癒しと笑いを与えてくれたぱん君との生活はわずか9日という短い時間でしたが確実に僕の中に大切な事を与えてくれました。

奇しくもシェリーさんの命日は10/6、ぱん君の命日が10/7となってしまいました、ぱん君1日ずらしてくれたのかな?

みんなは僕に「そんな事ないよ、たまたまだよ、しょうがないよ、難しいよね」
たくさんの優しい言葉で僕を慰めてくれました、

だけど僕がそう思ってしまったらダメだと思うから

僕はこれからもあの時ぱん君にしたことを後悔してこの悲しい気持ちを背負って生きます、

絶対に同じことを繰り返さないように、この話が犬を飼っている人や今後犬を買う人たちへの何かになりますように。

人も動物も簡単に死にます、生命は僕らが思っているよりも繊細なんですね

続く


ABOUTこの記事をかいた人

2016年 8月 17日 下北沢にちょっと変わったおかしな美容室 T:Luck をオープン 普通という無個性からの脱却を目指し日々奮闘中